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 みんなの登山記2010−33
 投稿者:keiko さん

■2010年8月18日(水)〜19日(木) 須走口

10歳の息子と感動の富士登山

私(44歳女)は過去2回、吉田口から富士登山に成功したことがありました。まだ子供がいない若いころです。この感動を子供ができたら、是非 一緒に味わいたい、と思い続けていましたが、私が難病になってしまい、その思い は、あきらめていました。

でも歌手だった川村かおりさんが、乳がんでも富士登山をしたのを知り、私でもやれ ばできるかな?と思うようになりました。

そして今年、体の調子も良いのと、息子も10歳になり、自分の荷物は自分でしっかり 持てる年齢になったので、チャンスと思い、 チャレンジしました。10歳以下ですと、子供の荷物を親が持つようでは・・・感動や 達成感もいまいち。

10歳でたくましくなった息子となら大丈夫と思い、富士登山計画をしました。


新しいトレッキングシューズを買い、まず靴慣らしに、乗鞍岳を登ってきました。 3000mの空気感と靴慣らしには、丁度よかったです。

私は、病気で足の筋肉と骨が人より弱いため、足慣らしの登山は、行程の短い山にし ました。

これがほんとに役に立ちました。靴が当たって痛くなる場所や呼吸法、歩くペースも 練習できました。

息子も靴に慣れ、3000mの空気感を感じることができたみたいです。

さあいよいよ登山する18日です。私は、マイペースで登れる個人登山派です。そし て、コースは、下山時に足の負担が少ない、須走口からの登山に決めました。この コースは、うわさ通りに人も少なく、静かでマイペースで登って行けます。(お盆 や、休日を外す。)

下りも、お楽しみの砂走りがあり、変化に飛び、富士山の自然を感じることができる コースでした。

私と息子にとって、このコースを選んだのは、富士登山成功への秘訣でした。二人と も高山病にもならず、バテルことなく、楽しく感動の登山になったのも、このコース は、他のコースより標高が低いところから始まり、徐々にゆっくり標高が高くなり、 体を慣らすことができるからです。そして、始めから、マイペースでゆっくりと登 り、呼吸法も深呼吸しながら登ります。高山病になってからでは、大変です。


駐車場に13時に着き、のんびり準備をします。お店で杖を買い、14時10分スタートし ました。そしてルールは、マイペースと呼吸法です。

樹林帯の中をゆっくり登っていきます。鳩もいて子供もびっくりしてました。観光客 も途中まで登るみたいで、「いってらっしゃい、がんばって」と、声を掛けられま す。

後ろから外人さんの団体が登ってきます。歩幅も大きく、早いペースです。挨拶をし て、こちらはゆっくり歩きます。

樹林帯をもうすぐ抜ける頃、土砂降りの雨・・・。山の天気は変わりやすいです。木 の下で雨宿りをして、合羽を着ました。

息子に「こんな経験もいい思い出になるよ」と励ましました。すごい雨で、登山道に 川が出来てました。

新六合目に着くころは、雨も小降りになりました。雨のおかげで2時間かかりまし た。これが意外と良かったのかもしれません。

本六合目に着くころは、大きな入道雲ができていました。7合目近くで今度は、雷が 聞こえます。危ないので、小屋で避難させてもらいました。

雷待機30分。これも高度に慣れるのに良かったのかもしれません。今日の宿は、本7 合目の見晴館さんです。20時07分到着です。

予約してませんでしたが、なんとか泊る事ができました。布団は二人で一枚。これぐ らいなら余裕です。

息子はグウグウ〜私は目を閉じるくらいでした。途中夜なかにトイレに行き、二人で 星空を見上げて、感動しました。去年4年生で、星の勉強をした息子は、嬉しそうに 見て、いろいろ教えてくれました。


翌日19日は3時起床、4時出発しました。満点の星空と少し赤くなっている東の空を見 て歩きました。前も後ろも誰もいません。きれいな景色を二人で独占です。ヘッドラ イトをつけて歩くのが、探検気分で、子供はおもしろがっていました。

4時40分八合目で御来光待ちして、見事な御来光を見ました。雲海の中から少しずつ 出てくる太陽は、感動でした。

ここで、おにぎりを食べ、5時30分出発しました。再びのんびりのんびりマイペース &深呼吸です。天気は、雲海と八合目から上は快晴!

本八合目から上は、本格的な急登続きです。焦らずマイペース。ジグザグの曲がり角 ごとに息子に水と酸素の補給です。高山病になる前にも 水と酸素で予防します。

頂上までそんなことをしながら、9時05分。とうとう山頂 に到着です。私も子供も元気です。涙がじんわり出て、子供の頭を撫でて褒めてあげ ました。子供は、見事な雲海に、「わあ〜飛行機に乗ってるみたい」と喜んでいまし た。そして、上を飛ぶ飛行機を見て、「JALだ。ANAだ。」と言っていました。 浅間大社で最後の焼印とお守りを買いました。

まだ元気なふたり、こうなったら目指すは、剣が峰です。お鉢巡りの途中、子供が少 しお腹が空いて、頭が重くなってきたらしく、剣が峰の前にカップラーメンを買って 食べました。。それが良かったのか、すっきりしてまた元気になりました。お鉢巡り もゆっくりペースで深い呼吸をします。頂上に着いたからと、安心しないで呼吸法を 守ります。なんせここが、一番空気が薄いのですから。

郵便局ではがきを書いて出したら、いよいよ剣が峰への急登です。慌てずゆっくり登 ります。

11時45分、ついに日本一の高さの所に着きました。子供とハイタッチでよろこびまし た。全部で13時間かかりました。(休憩含む)人の倍以上の時間でしたが、二人とも 高山病にもならず、足も元気で、何よりも楽しく、感動の登山ができたことがよかっ たです。

二人とも忘れられない良い思い出になり、これからの人生の励みにもなりました。


名残惜しいけど、下山しなければなりません。剣が峰の急坂を慎重に横歩きで下りま す。子供は怖いもの知らずで、さっさと下りていきます。

最後に富士山の火口をよく眺めながら、用意していた、スパッツとマスクをつけま す。

13時55分下山開始です。ややガニ股でかかとを意識してリズムよく下りていきます。 途中、飲み物を買いました。

楽しみだった砂走りも始めの500mくらいはおもしろいのだが・・・。長〜くて疲れ ました。子供は元気元気!これが一番おもしろい〜と得意のスキーを滑るように下り ていきます。あっという間に離され、今度は逆に「お母さん、頑張って」と言われま す。

砂走りが終わり、最後の樹林帯が終わりに近づく合図です。根っこが出ているところ が多いので気をつけながら、下りていきます。

17時20分、とうとう須走口五合目に到着です。下山は、3時間25分でした。膝も痛く ありません。砂のクッションのおかげかな?

息子もよく頑張ってくれました。あの飽きっぽい息子が・・・。忍耐力付いたかな?

そして、私の足や体も元気に無事に帰ってくることができました。このコースにして よかったです。


今回の反省点は、雨の事を考えて、ザックカバーや合羽は良いものを用意したほうが いいことです。 合羽を着ていても、中が濡れてしまいました。(着替えはありましたが。)子供は全 部有名メーカーの良いものなので、大丈夫でした。

私は、ザックもカバーも合羽も20年前からのものなので、富士山で最後となりまし た。

良い点は、やっぱりコース選びと、荷物は最小限にして、足りなかったら、お金を出 してでも、買うことにしたからです。あまりに重いとバテテしまいます。

必需品は、ペットボトル500ml 2本、酸素1人1つ(息子が2つ使った。)、 ヘッドライト、着替え、防寒具、ザックカバー、合羽、行動(カロリーメイトや柿 ピーやハイレモンやスポーツドリンクの飲むゼリーや柿ピーなど)おにぎり4つ、パ ン1つ。柿ピーは小袋のもので、意外とショッパイものがほしくなり、子供も喜んで ました。タオル2枚、軍手、マスク、スパッツ、帽子、日焼け止め、スーパーの袋2 〜3枚、カメラなど。全部の荷物は、種類別にビニール袋に入れます。

個人差もありますが、参考になればと思います。


(管理人)
登りは悪条件でしたが、息子さんはよくがんばりました。8月中旬あたりからは雷が心配な時期になります。七合目の大陽館は雷避難をさせてくれる山小屋です。雨対策は重要ですね。



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(10/8/25)