■2010年8月27日(金) 御殿場口
今年3度目の富士登山は御殿場口往復です。
4年前にも同じコースをたどっていますが、2007年に須走口を往復した時
(みんな
の登山記07-5)、「やはり御殿場口の砂走りがいい」と感じたこともあって、今年の
「富士山納め」に選んだ次第です。また前回は銀明水から剣ヶ峰往復でしたが、今回
はお鉢巡り付きにしようと計画をたてました。
午前6時8分、新五合目の駐車場を出発。金曜日の御殿場口、しかもシーズンが終
わりですので、第1駐車場にすんなり駐車できました。今日の宿、赤岩八合館に新五
合目を出た旨、電話をいれます。順調に大石茶屋を通過、すぐにジグザグの砂礫道が
始まります。御殿場口は登山者もまばらで、霧が出ると他の登山者は見えなくなって
しまいます。天気は晴れ時々霧、標高が低い分気温は高く、次郎坊までに汗だくにな
りました。
前回次郎坊には小屋の名残とも思える構築物が残存していましたが、今回は全く見
えませんでした。ただ、新しく整備された標識に「次郎坊」と書かれています。
その先もジグザグの砂礫道は続きます。勾配も増して登りでは一番つらいところ。
ただ4年前はこの辺りで霧に包まれたので見通しが利かなかったのに対し、今回は閉
鎖中の新六合目小屋、七合目日の出館が見えていました。おかげで「あといくつ折り
返したら新六合目」と目標を拾いながら進むことができました。
新六合目で最初の休憩。下界のコンビニで買ってきた「凍結ボトル」のフタを開
け、冷たいスポーツドリンクを流し込みました。さて今何時?と左手首につけてある
つもりの腕時計がありません。普段からつけていないので、途中で助手席に置いたま
まにしたようです。ズボンのポケットから携帯電話を取り出してみると、あきれたこ
とにまだ8時08分。4年前には新五合目からここ新六合目までたしか4時間かかって
いたはずなので、倍速で歩いてきたことになります。
4年前には気象庁の避難小屋が残っていましたが、今回はそれも撤去済。自然に
還っていくというのはいいことではあるけれども寂しい気もします。この辺りでは、
天城連山や西伊豆の海岸線もくっきり見えて上々の気分で歩けました。
七合目日の出館は一足早く今年の営業を終了していました。次のわらじ館も閉館。
砂走館は建替え工事中で、コンクリートの基礎ができあがっていました。その横の仮
店舗(?)で営業中でしたので、ポカリスエットを買い水分補給。
赤岩八合館でトイレ休憩。時刻は10時。約4時間でここまで登ってきたわけで、7月
にスバルラインと富士宮口で「新五合目から山頂まで登り3時間半」のペースだった
のがそのまま保たれています。
もともと初日のうちに山頂でお鉢巡りをして、下りてきて赤岩八合館泊、というプラ
ンですので、ここはそのまま出発です。
八合目見晴館跡でティータイムとしました。この先銀明水までの登りはけっこうし
んどい、というのが4年前の感想。果たして今回もけっこう苦しい道のりとなりまし
た。ただ4年前は30歩で1回息を整えていたのが、今回は120歩から160歩に1回の割
合。しかもだんだん慣れてくると折り返し2つで1回息を整える、というレベルで歩け
るようになりました。
頂上の鳥居が見えて、是非一度やりたい、と思っていたことを実行に移しました。
晴天の下とはいきませんが、鳥居に向かって登山道の残りをダッシュ!……その後奥
宮までダラダラと歩きながら息を整えました。何せ佐藤小屋で「親父さん!」と呼ば
れた40歳ですからね。
馬の瀬をノンストップで上り(さすがに走りはしませんでした)、剣ヶ峰に11時38分
着。新五合目から5時間30分です。時折霧の切れ間に青空がのぞきますが、周囲の
山々は積雲に阻まれて見えません。
お鉢巡りをして久須志神社にも参拝。金明水は払底していました。28日・29日も登山
者が多いようなので、まだ山小屋はどこも通常営業でしたが、在庫処分でミネラル
ウォーターを400円で販売しているところもありました。東京屋で昼食、ラーメンと
ビールを注文。ビールは冷え冷えですがやはり山頂、開けたとたんに噴き出す泡。
銀明水を行き過ぎて、頂上富士館へ。こちらは29日で営業終了とのことで、食堂の
メニューも土産物の品ぞろえも限られていました。コーヒーを飲んで時間をつぶしま
したが、結局12時55分に山頂を後にしました。
あまり早く着きすぎてもうまくないと思い、ところどころで時間調整のために立ち
止まりながらゆっくり歩き、赤岩八合館へは14時10分過ぎに到着。既に先客もいるよ
うで、特別早すぎるということはなかったようです。ただ、このまま新五合目へ下り
ての日帰り登山というのも、結果からみると無理ではなかったようですが。
備え付けのホウキでズボンの砂ぼこりを払い、寝床に案内されましたが、今回は最
上段の天井裏、しかも一番奥です。「御来光はどこで」と聞かれ「ここ(赤岩八合
館)で」と答えたので、2時頃に出発する必要がないため、一番奥があてがわれたの
かもしれません。
下着を替えてから、小屋先のベンチに腰掛けて缶ビールを傾けます。もう一人、同
じようにベンチに座って同じようにビールを飲んでいる人がいますが、この方のは
スーパードライで私は一番搾り。赤岩八合館では2種類のビールを選ぶことができま
す。
名物「カレー御替り自由」の夕食は5時からのところ少し早めに始まりました。2
杯目まではきっちり、3杯目は軽く盛って全て平らげました。スタッフいわく、「残
したらザックにいれます」もちろんこれは冗談です。また今年の猛暑で水が不足し、
テーブルの清掃にも影響しているらしく、「こぼさないでください」といわれまし
た。容器の縁についたルーを指ですくい取るリアクションをもって返事の代わりとし
ました。皆さんのお替りのペースがいつもより早いようで、「よく噛んで食べてくだ
さい。カレーは飲み物ではありません」とも。富士山七合九勺で思いがけずも「カ
レーは飲み物」というフレーズを聞いてニヤリ。
影富士はあいにく見えませんでした。雲海が層雲ではなく積雲、しかもところどこ
ろに積乱雲がまじっているという状況で、影を映してくれません。可能性を信じて甘
酒片手に待っていましたが、甘酒が空になったので諦めて、寝床にはいりました。
翌朝のご来光は最高でした。ザックに三脚をしのばせてきた甲斐があり、ビデオカ
メラをセットして撮影に成功。私の周りでも、カメラを構えている方々が多数。皆さ
ん異口同音に「良かった!」
ハムエッグ、漬物、昆布佃煮、味噌汁、ご飯はセルフで盛りつけ自由という朝食を
済ませ、5時40分下山にかかりました。7合目まで下ってきて、服装をフリース地の長
袖シャツから半袖のポロシャツに替え、足首にスパッツを巻いて、大砂走りにそなえ
ます。
途中宝永火口経由富士宮口への道を分けるまでは、所々走れるところもありますが
全体に石が多いので要注意。そこから下は本当に走って下れる砂地の道です。前夜赤
岩八合館に泊った方々は、ご来光を拝んでから頂上をめざしていますので、この時間
大砂走りを駆けているのは私一人。箱根の山々を眺めながら気持ちよく駆け下ること
ができました。
次郎坊まで来てみると、さすが土曜日、御殿場口も登山者の数が多くなっていまし
た。7時20分に大石茶屋まで下り、かき氷で渇きを癒し、3度にわたった今年の富士登
山も終わりとなりました。