■2010年7月17日(土)〜18日(日) 船津口
◎久々に麓から!
やってきました、夏山シーズン! 今年も富士山に登ってきます!
去年、一昨年は五合目からの登山だったので、今年は久しぶりにじっくりと麓から登りたくなりました。
地図を広げてコース選び。でも、一般的なコースはみんな歩いてしまったんですよね。村山古道は部分的に整備されていない区間があるのでパス。残るは船津口登山道。室町時代頃からある古い登山道ということで名前だけは知っていました。しかし、現在は林道歩きがメインのようで、登山ルートとして取り上げられているのを見たことがありません。
そこで色々と調べてみたんですが、なかなかコレといった情報が得られず…。よし!ならば自分で歩いてみよう、船津口!
コースの状況は
『ROUTE 5』という富士登山情報サイトを参考にさせていただきました。船津口は、スバルラインが開通する前のバスルートでもあったんですね。
以下はタイムスケジュールです。
7/17(土) 朝、自宅(川崎市内)を出発して河口湖駅へ → 11:00河口湖駅から船津口登山道を歩き始める → 13:30林道船津線起点 → 15:30林道東軒線分岐 → 17:15三合目広場 → 18:15精進口四合目 → 19:00五合目 → 食事、休憩後、22:30五合目出発 → 0:45七合目救護所 → 2:30八合目 → 4:00本八合目 大休止 → 御来光を拝み4:45出発 → 6:15河口湖口頂上 → その後のことは、その時の気分にまかせて☆
起点となる浅間神社が不明なので、河口湖駅からダイレクトに船津口登山道に入ることにしました。そして、今年はお盆休みの次に混雑する海の日の三連休に登るので、一応混雑する時間帯を外したタイムスケジュールにしてみましたが…、さぁ、どうなることやら。では、行ってきまーす!
◎出発! 〜林道船津線終点
7/17(土) 今日は気象庁から梅雨明けの発表があるかも…と言われてる日。雲の切れ間から青空が見えます。夏本番です。はりきって自宅を出ました。電車を乗り継ぎ河口湖駅へ。途中、富士急行線に遅れが出たため、15分程遅く駅に到着。すぐに駅を後にしました。
地図を見ながら歩き、20分程で国道139号と交差する『船津登山道入口』に出るので、そのまま直進します。だらだらとアスファルトの登りが続きます。天気は晴れたり曇ったり。暑いな〜…。
だんだん民家が少なくなり、両側がアカマツの林になりました。河口湖カントリークラブの横を通りすぎ、更に進むと船津胎内樹型の入り口があります。ここはスルー。徐々に道を行く車が少なくなってきました。歩いてる人は誰もいません(笑)。
船津墓地公園を左手に見ながら少し行くと、林道船津線の起点で道幅が狭くなります。時刻は13:10。クマ出没注意の看板があります。……って、鈴を忘れてしまった! …あはは、クマさん、私の前に現れないでね…。
しばらくするとゲートがあり、そのまま進みます。たまに通る車が作業車だけになり、ちょっと淋しくなってきました。13:45、わずか35分で林道船津線の終点に到着です。
◎〜五合目 心細いよぉ…
林道富士線との交差の先にゲートがあり、船津口登山道はそれを越えて直進します。
ここから先は未舗装路になり、これまでの雰囲気とは全く異なります。道は苔むし、鬱蒼とした林が続いていて、普段人にほとんど歩かれていないのが一目瞭然。うぅ…、来てしまったことにちょっと後悔…。
まずはゲートを越えます。ゲートの脇をすり抜けようとしたら…、お゛ぉ〜っ!クモの巣!! ここは通りたくありません。変な虫もいるし。下をくぐろうとしたら、今度はザックが引っ掛かってしまいNG。えぇい、またいでしまえ! よいしょ…っと。
ではでは、気を取り直していくぞー! と数歩歩いたら……。
!!!!?
でっかいクモの巣に引っ掛かってしまいました(涙)。え〜ん、やっぱり来なきゃよかった。
『ROUTE 5』によると、この先林道東軒線分岐までの間に、地図にはない分岐がいくつかあるようなので、地形図を手に少し慎重に歩くことにしましょう。
大小石のころがる溶岩流の上を行きます。時々、エゾハルゼミの鳴き声が聞こえてきます。しかし、あちこち飛び回るガ、突然現れるクモの巣、虫が苦手の私は金剛杖を振り回しながらでないと進めません(苦笑)。
数十分後、一つ目の分岐。登山地図には「林道分岐」とだけ書かれていて、道は載ってません。ここは左の道を進みます。また少しすると、二つ目の分岐が現れます。分岐の真ん中に『特別名勝富士山』の石標と祠があり、左の道には進入禁止の札が掛ったゲート。ここは右へ行きます。そして、林道東軒線分岐手前の逆S字カーブに三つ目の分岐があり、左の道を行きます。
この地図にない3ヶ所の分岐の他、獣道のような不明瞭な分岐もいくつかあり、事前に調べておいてよかったなぁとつくづく思いました。
15:30林道東軒線分岐に到着。ゲートのある右が東軒線で、船津口登山道は左の道です。ちょっと休憩して三合目に向かいます。
この辺りからよくシカを目撃するようになりました。突然目の前を横切ることも。
スバルラインの下をくぐります。かなり錆びた昔のバス停が放置されていて、三合目○○、河口湖○○などの文字がかろうじて読めます。
この先、旧登山道と旧バスルートに分かれます。旧登山道は精進口四合目に合流する近道ですが、踏み跡が交錯し、ルートファインディングが必要とのことなので、私は旧バスルートを行くことにします。もうこれ以上クモの巣にからまるのはイヤですし(笑)。
しばらくスバルラインと平行するように歩きます。連休初日なので、ひっきりなしに車が通っています。スバルラインから離れ高度をかせいでいくと、見覚えのある場所に出ました。三合目広場です。時刻は16:30。3年前は精進口からここへ来ました。
あれ?これは…。比較的新しい道標が設置されていました。自分が歩いてきた方向には「船津口登山道」、五合目方面には「精進口登山道」の文字。広場の奥には奥庭方面の道標も立っています。たしか3年前にはなかったはず。この周辺を歩く登山者が増えたってことでしょうか。
この三合目の広場は、麓から船津口登山道を走ってきたバスから別のバスに乗り換える場所だったそうです。当時は随分賑わっていたはず。思わず、その頃の様子を想像しました。
広場にはたくさんの登山者。山小屋も活気にあふれていたに違いません。スバルラインが開通する前のことです。
今は残骸が残る小屋の脇に、さびたバス停が放置されているだけ…。時代の流れをちょっとだけ寂しく感じたひとときでした。
では、残りわずか、五合目に向けて頑張りましょう! おにぎりでエネルギー補給し、17:00三合目を後にしました。
ここからは精進口登山道を行きます。木々の間からもれてくる夕日を浴びながら、何とも言えない心地よさの中、黙々と歩きます。18:15四合目の小屋跡前を通過。今はシャクナゲの花が見頃です。
周辺の木々が低くなり、車の音が聞こえてきました。小さなつづら折りを登りきり、18:45ようやく五合目に到着です。
五合目はこの時間もものすごい賑わいです。ここまで誰にも出会うことなく登ってきた私は、急に現実に戻されたようでした。前半戦終了。
◎五合目にて
19時過ぎ、日が暮れかけてもまだまだバスが上がってきます。今日はいったいどれだけの人が山に入っているんでしょうか。いつもは山頂でご来光を拝めるようにと、20時半には五合目を出発するんですが、今回は本八合目で夜明けを迎えるようにスケジュールを設定しました。少しは混雑を回避できるかな?
しばし雲上閣のベンチで足を休めました。食事をしたり、友人に「今どこでしょう?」メールをしたりであっという間に時間は過ぎ、22時になりました。そろそろ身支度を整えましょう。ライトを用意しスパッツを装着、長袖シャツを着て準備完了。では後半戦の始まりです!
◎〜本八合目
22:30予定通り五合目を出発。今夜は少し風があり肌寒いです。ただ、河口湖町の夜景がいつになくきれいに見えました。もちろん空には満天の星。何やら楽しくなってまいりました!
今日は御来光の時間を気にしなくてもいいので、気ままにのんびり登ることにしましょう。後から後から人に追い越されますが、超超スローマイペースで歩きます。
六合目の安全指導センターを通過、つづら折りに入ります。おー、すごい人だぁ! 長ーいライトの列がずっとのびています。すでに上の方ではすごいことになっていそうです。
0:45七合目救護所通過。とてつもなくおなかがすいたので、山小屋でオレオの小袋(\100)をゲット。うひょー!夜の富士山で食べるオレオ最高ー!
時々道が渋滞するものの、まだスムーズに歩けます。先ほどまで吹いていた風もおさまり、快適な登山です。
午前1時になると少し睡魔が襲ってきたので、ザックからマル秘ドリンクを取り出しゴクッ! コンビニで購入した『メガシャキ』なる眠気覚ましドリンクです。効果あるかしら…。
2:35八合目に到着。かなり疲れてきましたが、スーパースローペースなのでまだまだ大丈夫です。山頂御来光組はとっくに山小屋を出てしまっているので、それほどの混雑はありません。あんぱんを1個食べ、フリースを羽織ってGO。この時間になると、道端で眠りこける人達がたくさんいます。うっかり踏んづけてしまいそうになりました(汗)。
ところが、白雲荘を過ぎたあたりから徐々に道が渋滞してきました。私は麓からの疲労のため、歩いたり止まったりのペースでも構わないんですが、あまり立ち止まる時間が長いとどこからともなく睡魔が忍び寄ってきて…。しばらくすると『メガシャキ』の効果が切れてきたのか、頭の中がトロ〜ンとしてきました。よし、奥の手だ! 次にザックから取り出したのは『強強打破』、更に強い眠気覚ましドリンクです。ん〜ぬぬ、マズイ!
明け方近くなり、東の空が明るくなってきました。今年は御来光を拝めそうです。のろのろと足を動かし、4:25本八合目に到着です。
◎登頂!
まもなく御来光です。その場でザックを降ろし、カメラを用意しました。山頂での御来光待ちは非常に寒く大変ですが、ここ本八合目の寒さはさほど気になりません。
4時半過ぎ、空の一点が急に明るくなり、太陽が昇ってきました。7回目の御来光です。でも、なんだろう…この感動。見慣れたはずの光景なのに、ものすごく感動しています。
そういえば、いつもだと山頂で大勢の登山客ともみくちゃになりながら、また強風にさらされ寒さで足踏みしながらの御来光で、あまり気持ちに余裕がありません。写真を撮るとすぐさま山小屋に避難するような状態です。
でも今回は違います。混雑を避けるため時間をずらしたので、人も多くなく周囲の様子もおだやかで、とてもいい雰囲気です。風もほとんどない暖かい朝で、皆静かにその瞬間を見届けているかんじです。こんなに落ち着いた気持ちで御来光を迎えるのは初めてです。日が完全に昇っても、時間を忘れ、いつまでも東の空を見つめていました…。
……おなかすいた。空腹で我に返りました(笑)。ここで朝食タイムにしますか。
胸突江戸屋でカップヌードルを注文。うまいな〜。30分程休憩を取り、いよいよ山頂を目指します。
残念ながら、ここから山頂までは大渋滞です。何時に着くことやら…。ところが、雲ひとつない空や、眼下の素晴らしい雲海を見ながらの登山はなかなか気持ちのいいもので、全然イライラすることはありませんでした。涼しい風に吹かれながら九合目の鳥居をくぐり、少しずつ山頂が近付いてきました。そして7:25登頂。今年も登ったぞー!
◎快晴の山頂
吉田口の頂上は大勢の人であふれ返っていて、とても賑やかです。さて、これからどうしようかな。
最高に天気がいいので、何だかお鉢めぐりに繰り出したい気分です。ぽかぽか陽気なので(実際には6、7℃ですが)フリースを脱ぎ、長袖シャツになりました。手袋もはずしちゃえ。身軽になりお鉢めぐりに出発!
カメラ片手にのんびりと雲上の散歩を楽しみます。途中、寄り道して火口をのぞきに行きました。今年は雪が多く、向かい側の剣ヶ峰の近くの道にもまだたくさん残っているようです。
景色を楽しみながら右回りで静岡側に向かいます。眼下に宝永山が見え始めると、俄かに気分が変わってきました。久しぶりに大砂走りもいいな〜。うん、お鉢めぐりはやめて御殿場口に下ろう。宝永山にも行こう。登頂後はノープランなので、本当にその場の気分にまかせています(笑)。
気のすむまで山頂からの景色を堪能し、それでも少し後ろ髪を引かれる思いで御殿場口の鳥居をくぐりました。8:25下山開始。
◎下山 モクモクモク、ザーザーザー
あれほど時間をかけて登ったのに、下るのはあっという間です。どんどん山頂の鳥居が小さくなっていきます。ちょっと寂しいな…。
下から登ってくる登山者と挨拶を交わしながら、赤岩八合館まで下ってきました。立ち寄って2度目の朝ごはん。カレーを注文します。私好みの黄色いカレー、家庭の味です。おかわりまでいただいちゃいました。赤岩八合館のおばちゃん、ありがとうございました。
まもなく突入する大砂走りのホコリ対策のため、ザックに全ての物をしまいます。以前大砂走りを下った時、デジカメをザックのサイドポケットに入れていたので、隙間から細かい砂が入りこんで壊れてしまったことがあるんです。今回はこのようなことがないように、ザックの奥深くにしまい込みます。
しばらく下り、大砂走りの上部に立ちました。ここからは一気にかけ降ります。ザーザーザー…。周囲は凄まじい砂ぼこりです。モクモクモク…。
途中、いったん道をそれ、宝永山に向かいます。強風の中馬の背を歩き、宝永山の頂上に到着。ここに来るのは初めてです。宝永火口は想像以上に大きく、圧倒されました。火口の中を歩いてる人も結構います。何枚か写真を撮り、再び大砂走りに合流。
ここから新五合目までが長かった…。両足の小指の外側にマメができてしまい、急激にペースダウン。変に足をかばって歩いていたため、土踏まずがつりそうになるわ、痛さで呼吸を忘れ、酸欠で顔がしびれるわ…。
最後の方では子どもにすら追い越され、砂ぼこりの舞う真夏の炎天下で半ベソ状態の私。何度も立ち止まりながら、何とか足を動かし、12:40ようやく新五合目に到着です。
今回もかなりの長丁場、よく歩きました。好天の下、思う存分富士山を楽しんだかんじで、大満足です。
さすがにもう立っていられず、その場にへたり込んでしまいました。しばらくすると御殿場駅行きのバスが到着。13:00に新五合目を後にしました。富士山、また登りにくるよ〜!
◎船津口登山道を歩いてみて
長い林道歩き、ほとんど変わりばえしない景色、正直あまり楽しい登山ではありませんでした。五合目に辿りつくまでに出会った登山者はゼロ。普段人が歩くことはめったにないんでしょう。
しかし、この道を大昔の登山者が歩いていた様子や、スバルライン開通前にバスが走っていた光景に思いをはせながらの山旅も悪くないのかもしれません。
一人静かにしみじみと富士山を味わいたい方、一度歩いてみてはいかがですか?
/おしまい