[登山記の目次に戻る]

 みんなの登山記2014−12
 投稿者:haroさん

■2014年7月12日(土)〜13日(日) 富士宮口

はじめまして。私は関東在住の34歳男性です。
今年念願だった富士山に初めて挑戦し、無事初登頂できました。その際こちらのサイトの情報と登山記は大変参考になりました。ありがとうございます。

去年の9月ごろ、ある旅行記に触発されて富士山に登ろうと決意しました。ですが富士登山について調べ始めて登山シーズンというものがあることを初めて知り、もうシーズンが終わっていて正直がっかりしました。ですが結果的に富士山について調べる充分な時間ができ、こちらのサイトに巡りあえたので良かったです。

登山口に富士宮口を選んだ最大の理由は、登山渋滞で自分のペースで歩けなくなるのが嫌だったからです。ですから登りは富士宮口から8合目トラバース道を通って御殿場口へ、下りは大砂走りが体験したかったので御殿場口から下山しました。

7月12日朝3時に自宅を出発。7時に御殿場口駐車場に到着。こちらの山開きはまだなので余裕で停められると思っていたのですが、第2駐車場まで満車ということで第3駐車場に誘導されました。
正直、御殿場口の駐車場はシーズン中でも満車にならないと聞いていたので山開きしていないこの時期にこんなに停まっているとは驚きでした。

さてここから水ヶ塚公園行きのバスに乗るのですが、最初のバスがまさかの8時15分発。自分の迂闊さを呪いながらもせっかくなので大石茶屋まで登って時間まで待つことにしました。

大石茶屋まで登ってみると、ちょうど下山してきた方がいたので話を聞いてみました。その方によるとまだ雪がかなり残っているらしくアイゼンが無い状態ではお鉢巡りをしないほうが良いと言われました。私の目標のひとつにお鉢巡りをしてみたいというのがあり正直ショックでしたが、振り返って考えると、初めて富士山に挑戦するのにお鉢巡りまでできると思っているなんて、どこからそんな自信がでてきたのでしょうね(笑)
その後時間通りにバスに乗り、水ヶ塚公園にて富士宮5合目行きのバスに乗車しました。

9時に5合目到着。天気はあいにくの曇りでした。ここで1時間高度順応をして10時に登山開始しました。今回の登山で一番気をつけたのが高山病やシャリバテです。色々な登山記を参考にした結果、酸素缶や風船を用意し、各山小屋で多めに休憩をとる、登るペースはゆっくり、こまめに水分補給や栄養補給をとることを念頭にいれて行動しました。

10時20分に6合目雲海荘に到着。登山者はそれなりにいましたが、自分のペースで登れるくらいには空いていましたのでラッキーでした。まだまだ余裕でしたが、最初でとばすと後で苦しくなるというレポートも見ていましたので20分休憩。10時40分に出発しました。

御来光山荘付近 11時40分7合目御来光山荘に到着。普段スポーツも何もやっていない私はここら辺から登山がきつくなってきました。それにしても完全に曇りで富士山の楽しみのひとつの景色が全く見られません。(デジカメのタイムスタンプは12時間ずれています、帰ってから気づきました。)これには本当にがっかりしました。まあ、おかげで気温はちょうどよかったのですけど。

12時に出発しましたが、ここから砂礫の道が続き、足をとられてなかなか進まなくて難儀しました。その後も岩だらけの道と格闘しながら13時10分元祖7合目山口山荘に到着しました。疲れてきていたこともあり14時までゆっくり休憩しました。

ここから先の傾斜がさらに厳しくなった岩場が続き、相当苦労しましたが何とか14時45分8合目池田館に到着しました。外のベンチで休んでいると、高山病らしい男性が相当苦しそうな感じで休んでいました。結局その男性は、他の仲間に連れられて下山していきましたが、高山病の怖さを垣間見た気持ちでした。幸いにも自分は高山病になることがなく、ペース配分と休憩が良かったのかなと内心喜んでいました。まあ残念ながら後でこの男性の気持ちを思い知ることになるのですが・・・。

15時15分に出発。池田館横の道からトラバース道へ。そこから御殿場口に合流し、15時40分砂走館に無事到着しました。本当は赤岩八合館に宿泊したかったのですが予約が一杯でとれませんでした。

山小屋に関する体験記を見る限り、狭くてなかなか熟睡できないという話を読んでいたので覚悟していたのですが、なんと両隣がいないという非常にありがたい状態で快適に眠れました。・・・というより寝すぎました、多分これが今回私の最大の失敗だと思います。

5時に食べ放題の美味しいカレーを腹いっぱい頂いて、充分に時間的余裕をもって登ろうと深夜0時出発することにし、寝不足だけにはなるまいと夕食後すぐに眠りました。そして時間通り0時に大きな荷物を山小屋に預け出発しようとしました。

しかしすぐに激しい頭痛に襲われ、山小屋の外のベンチで動けなくなりました。そこで風船をしばらく膨らましてみたのですがやり方が悪いのか全く良くならず、深呼吸をしたり酸素缶を吸ったりしましたがあまり効果はありませんでした。そうこうしているうちに1時間が経ち、正直登頂は諦めたほうがよいか本気で悩みました。

結局どうしてもあきらめきれず、とにかく赤岩八合館まで登って決めようと思い登り始めました。これが本当につらく、数歩登っては立ち止まるといった感じで昨日の登りとは全く違った感じで苦しみました。しかも風がかなり強くなり、フリース等冬用の厚着をしていても寒くて仕方ありませんでした。足元はふらふらで正直、登頂は半ばあきらめていました。それでもなんとか赤岩八合館に1時50分に到着しました。そこでなるべく風に当たらないところでエマージェンシーシートにくるまりながらじっと体を休めていました。
するとそれが功をそうしたのか頭痛がある程度軽くなり、これならなんとか登れると思えるぐらいには体調が回復しました。

そして午前2時10分に御来光目指し出発しました。風はさらに強くなり体が押し戻されるような強風になりました。しかも急な傾斜に加え、雪がかなり残っている箇所が点在し怖い思いをしました。ただ、これ以上頭痛を悪化させないようかなりゆっくりこまめに休憩を挟みながら登ったせいか頭痛はいつの間にか治まり登りに集中することができました。
御殿場口は人が少ないと聞いていたのですが、渋滞とまではいきませんがそれでも結構な登山者がいて、少し離れた場所に常に人がいる状態だったので驚きましたが初めての夜間登山の私は少し安心しました。

山頂の鳥居 そして午前4時、ついに・・・ついに頂上に到達しました。途中、本気で諦めかけていたので感無量でした。本当に諦めなくてよかったです。

頂上に着き、すぐに御来光が見られる位置に移動、4時11分に着きました。その日の日の出時間は4時25分だったので本当にギリギリでした。ただ、その御来光の時間を待つわずかな間が本当に寒く、フリースやエマージェンシーシートでも寒くて仕方ありませんでした。高くてもダウンは必要だと心底思い知らされました。

山頂からの風景

そして肝心の御来光ですが、4時11分の段階では期待できそうだったのですが、あっというまに曇りなにも見えなくなりました。諦めきれず40分まで粘ったのですが結局晴れることはありませんでした。富士登山の一番の目的は御来光だったので、これには心底がっかりしました。

仕方が無いので入り口に戻り、剣が峰へ。本当は富士山頂郵便局にも行きたかったのですが、山開きが遅れたためか、郵便局のオープンも遅れていました。剣が峰は凄い人で石碑には行列ができていました。そして30分くらい並び午前5時42分に石碑で記念撮影しました。

霧の剣が峰

それにしても本当に天気が悪く真っ白です。本当は剣が峰から絶景が見られるのでしょうが今回私は真っ白な景色しか見れていません。まあ、それでも初めてで登頂成功して剣が峰に登れたのは上出来ですね。さて後はお鉢めぐりですが、体力は十分残っていたのですが、なにぶんこの真っ白な風景ではあまり意味がないので次回のお楽しみにしようと辞めました。

御殿場口下山道に戻り、午前6時30分に下山開始しました。登ってきた道を下りている最中、よくこんな雪だらけの道を登ってきたなあとしみじみと思いました。

御殿場口下山。雪が多い

ですがそんなことを思っていたのは最初の30分くらいだけでしばらくすると体がよろけそうになるくらいの強風が。相当難儀しながら下山していくと今度は雨が降り出しました。あわてて雨具を装着したのですが、話どおり富士山の雨は四方八方から叩きつけるように降るのですね。想像以上でした。
雨で視界が一気に悪くなり、砂走館に戻れたのは8時15分でした。

砂走館の朝食は、ごはん、味噌汁、ハムエッグといった内容でしたが、冷え切った体に暖かい食事は本当にありがたかったです。お茶も頂いて荷物も整理できて、おまけにスタッフの対応がアットホームな感じで砂走館を利用して本当によかったです。

山小屋の方にお礼を言って9時30分に出発。さあ、後は一気に下るだけだと気合を入れていたのですが、風がさらに強まり傘なんて差したら一瞬で体ごともっていかれそうな強風で前に進むのも苦労しました。雨も叩きつけるような感じがさらに強くなりました。しかし、そんなことが些細なことに思えるくらいにガスがかかって視界が真っ白に!それもほんの少し先が全く見えなくなるくらいに真っ白で、道がどうなっているのかまったくわからなくなりました。これにはまいりました。とにかくガイドロープを見失わないよう慎重に下りていきました。

砂走り区間に入ってからは、風はだいぶ収まりましたが、なにぶん先がどうなっているか全くわからないので走ることもできず、これで無事下りられるのだろうかと本気で心配した矢先に御殿場口に慣れていそうな下山者のグループが私を次々追い抜いていきました。これはチャンスと必死でそのグループの後についていかせてもらいました。このグループの方には本当に感謝です。

そして大砂走りの広い区間にでてしばらくすると視界が徐々にクリアになり、下まで見えるようになり、ようやく自分ひとりで大丈夫と確信がもてるようになり、そこでグループの方と別れました。 もちろん、大砂走りでおもいっきり走って下る体験もしました。確かに楽しいです、調子に乗って勢い余って転びそうになることが何度もありましたが・・・。そしてほんの少しの時間でしたが雨がやみ、少しガスがでていましたが眼下に見事な大パノラマが!!大砂走りといい、なるほどこれはこの御殿場口の下山ルートを勧めたくなると納得しました。

大砂走りからの光景

ですが楽しめたのもここまででした。雨がまた降り出したのはこの頃になるともう慣れたのですが、とにかく長い!長すぎる!!自分の運動不足を痛感しました。膝がガクガクになり、少し進んでは立ち止まりを繰り返していました。せめて所々に休憩できそうな平らな場所があれば少しは違ったのかもしれません。次から次に元気に下りて追い抜いていく人を見て本当に自分は体力が無いなあと落ち込みながらも、少しずつ最後は無心で下りていき、午前11時42分ついに大石茶屋に到着しました。もう本当に登頂したときとは別の達成感を味わいました(笑)

大石茶屋でかき氷(これが凄く美味しく感じました)と山菜うどんを食べ、お土産を買いながら12時15分まで休憩。
12時25分に駐車場に到着し、御胎内温泉センターに寄ってたっぷり休憩してから20時に帰宅しました。

初めての富士登山でしたが、本当に様々な体験ができました。かなり辛い思いもしたのですが本当に行って良かったと思います。でもあまりにも真っ白な風景と御来光も見られない等心残りも多くなってしまいました。ですから、来年も懲りずに挑戦しようと思います。

(管理人)
かなり厳しい状況の中、見事に登頂おめでとうございます。御来光や景色については残念でしたが、剣が峰まで到達されたのはなによりだと思います。馬の背を登る登山者が多いですね。



BACK  TOP  NEXT

(14/9/23)