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 みんなの登山記2011−33
 投稿者:青空高き さん

■2010年7月22日(金)〜23日(土) 御殿場口

昨年のコノスジ中途道(2010-50)に引き続き、今年もルートから外れてしまいました。お間抜け登山です。

 今年は富士宮ルートを登りたい。が、このルートは東京から一番遠く、交通費も一番高くつくのが難点です。しかしKTさんの登山記(2008-27)を読んで、ひらめいてしまいました。「そうだ、その手がある!」 というわけで、今年の富士登山は御殿場から登り、双子山・御殿庭経由で富士宮ルートの六合目に合流するルートに決定!!今回もおじさん(49歳)の一人登山です。

 7月22日(金) 8:50 御殿場ルート新五合目、快晴なので日焼け止めはガッチリと塗ってから出発。大石茶屋から双子山方面への分岐へ。の〜んびり行きます。
 10:30 双子山の低い方の山頂到着。山頂は思ったより平らなんですね。せっかくだから高い方にも登ってみたくなり、挑戦。こちらははっきりした登り道がないので、適当にこの辺と思って登りましたが、斜面が急でズルズルと滑りやすく、低い方に登るよりもキツイ。でも、標高もこちらのほうが高いだけあって、双子山の低いほうの山頂を見おろしつつ、反対側には宝永山がそびえ、という眺めは気持ちいいですよ。


双子山下の山頂より

 さて、次に行く先は御殿庭方面。一昨年に通った須山口下山道(登山記2009-50)との交差点を過ぎ、標識と地図を照合しつつ… あれ、ない。沢に突き当たるまでは明確に道とわかる所を歩いてきましたが、沢にせきとめられて唐突に道が行き止まりになったような感じです。横切る沢を境に向こう側に道が発見できない。ここは慎重に、冷静にと自分に言い聞かせる。KTさんの登山記によると、石に白いペンキのマーキングがあってわかりやすいはず。白ペンキどこ? しばらく周辺をうろうろしたり、標識まで戻って確認してみたり、探索の結果やっと沢の向こう側に白いペンキ発見。ほら、ちゃんとあるじゃないか。沢を渡って白いペンキの石まで行くと、少し先に2つ目の白いペンキ発見。しかし、白ペンキ2個だけかぁ? あたりにふみ跡もなく、どう考えてもここは道じゃない。よく見るんだ!と周りを凝視すると、少し離れたところに発見、白ペンキの列。これこれ! しかし駆け寄ると、岩についた苔が白く見えただけでした。う〜ん、これは昨年のコノスジに続いて「LOST」だな。しかし、森の中で方角さえわからなかった昨年とちがい、双子山や宝永山も見えているので、自分がどのへんにいるのかはだいたいわかります。無理なら引き返せば良いという安心感もあります。えい、このまま行っちゃえ。地図には涸れ沢沿いの樹林帯とあるけれど、どれがその涸れ沢かわかりません。とりあえず涸れ沢っぽいものが見える方向に歩きましょう。道はどこですか〜?

 樹林帯に向かい垂直にぶつかるように歩くのが正解かもしれないと思ったのですが、道を見失った状態で樹林帯に突入することには本能的な恐怖心がはたらきます。常に宝永山が見えるようにしておけばなんとかなりそうな気がしたので、樹林帯を斜め左に見ながら道なき道を登っていきました。足場が非常に悪くて歩きにくいため、かなり疲れます。と、遠く樹林帯の境目あたりに鮮やかな赤茶色のモノを見つけました。山の中では場違いな色彩なので何か人工物にちがいないと思い、そちらの方角を意識しながら歩いていくと、なんと鹿さんたちでした。数頭がかたまっていました。鹿の家族でしょうか。やがてむこうもこちらに気がついたのか、森の奥に消えていきました。

 尾根状の斜面を登ったら何か見えるかと思い、また、うまい具合にショートカットして道に合流するのではないかという都合の良い計算もあって、頑張って登ってみた所、見えたのは下って登る波打つような荒涼とした地形。その先に見えるのは青空、道らしきものはありません。本来のルートよりもかなり右にずれて歩いてきているような気がします。今まで登ってきた坂は、登らずに下をぐるっと迂回するのが正解だったように思えてきました。後方に見えていた双子山も、いつのまにか見えなくなっています。余計なアップダウンを歩いて無駄に体力を消費した気分、でもこのまま行くしかないか。う〜ん、腹が減っては戦は出来ぬ、ここで昼飯! この角度で宝永山を見た人は少ないだろうなと、むりやり得した気分になって、プラス思考でGo!


宝永山、下から見上げると…

 宝永山の山頂が見える方角から推測すると、そう大きくズレているわけではないと思うのですが、第2火口の東側に出てしまったらちょっと厄介だぞと思い若干左寄りに軌道修正。ズルズルと足をとられながら斜面を登りきると、坂の向こうに見えたのは、大きな窪みと1本の道。やった!道に戻って来れたぞ!! 宝永山の第3火口のフチでした。ここからは、ちゃんとした道と白いペンキのマークで進むべき先がはっきりとわかって安心安心。なんて歩きやすいんだ。かなりヨレヨレな状態で富士宮ルートの六合目に合流しました。13:30頃迄には合流するつもりが、すでに15:00です。宿泊予約をしている九合目の万年雪山荘に明るいうちに着けるかな。


宝永山第3火口、道があった!

 ここまでの疲労は、ちょっと予想外でした。ゆっくり歩こう。途中の元祖七合山口山荘は、30年以上前に初めて富士登山した時に泊まった所です。その時に雨に濡れたスニーカーを乾かした、入口すぐのところにある囲炉裏が当時のまま残っていて、火に近づけすぎて踵が溶けてしまったことなどを懐かしく思い出しました。
 途中万年雪山荘には到着が遅くなることを電話して、後半戦は疲労と呼吸の苦しさでペースダウン。今回の登山はとにかく呼吸が苦しく、酸素が肺に入ってこない感じでした。歳かな? 何度も立ち止まって呼吸を整えながら登りました。万年雪山荘にたどり着いたのは、陽も沈んだ19:25。昨年御殿場ルートを登った時に比べると、5割り増し位の疲労感です。

 夜は上にも下にも雲ひとつなく、下界の街灯りが一面に広がり、見上げると空は宝箱をひっくり返したような星空。これが天の川というものですね。目を凝らすと、まるで霧でも吹いたかのように小さな星がぎっしり。この景色を見ることが出来ただけでも、苦労してここまで来た甲斐があります。写真には決して写すことが出来ない光景です。

 暗いうちに山頂に向けて出発、明るくなり始めた頃に登頂。東安河原に急いで移動して、山頂での御来光を初体験しました。その後、今回はぜひ登りたいと思っていた富士山の北のピーク、白山岳(3756m)にも登りました。剣が峰より20m低いだけ、日本で2番目に高い場所です。南アルプス〜八ヶ岳方面が一望できます。頂上には先客が一人、何かの観測をしているのかと思ったら、アマチュア無線だそうです。周りにさえぎる物が何も無いので、すごく電波が入るのだとか。そのためにアンテナや機材を担いで登ってきたとのこと。  そのまま反時計周りでお鉢を一周してから、御殿場ルートを下山。今回は赤岩八合館までがやたらと長く感じました。やはり前日の疲労が抜けていなかったようです。大好きな大砂走りを大股で一気に駆け下りて、無事五合目到着。お山の姫様、今回も無事に登らせていただき、無事に帰してくださって、ありがとうございました!


白山岳山頂より剣が峰を望む

 さて、登った後にこちらの登山記を拝見すると、数日前にNTさんが御殿場から同じようなルートで登られているではありませんか(2011-7)。「沢で登山道が所々寸断していましたが、あちこちに白いペンキの目印があるため、迷わず歩く事ができました」とある。あれぇ、おかしいなぁ。なんで自分だけ見つけられなかったんだろう? 今年も姫様に遊ばれたのか、悪霊につけこまれたのか??

■後日談 2011年9月18日(日) 双子山〜幕岩ハイキング

 2ヵ月後に小学5年生の次男坊とハイキングに出かけました。我が家では「6年生になったらお父さんと富士山頂に登る」ということになっているので、来年に備えての予行演習も兼ねての出発です。
 車で7:35 御殿場ルート新五合目到着。青空に富士山も双子山もくっきり。「遠くから見ると富士山は青っぽく見えるのに、近くで見ると赤・黒・灰色・白と、いろんな色が混ざっているんだね」というのが息子の感想。双子山へのルートは、2ヶ月前に通った時よりもロープなど整備されていて、新しい標識が準備されているようでした。9:30 双子山の低い方に登頂。双子山の低い方→高い方→宝永山→富士山頂と並んでいる様子から、「この下に富士山マグマがまっすぐ走っているのかしら?」と想像しました。10:00 高い方にも登頂 。足元が滑りやすく、子どもには最大の難所だったようです。下では気にならなかったのですが、山頂に登ると冷たい風が強く、帽子が飛ばされるほどで、体温が急速に奪われる感じがします。山頂と麓では、双子山程度の山でもずいぶん気象条件が違うものだなと驚きます。

 さて次は、今回の目的のひとつ、「御殿庭方面への正しいルートを発見できるか!?」 今回はちゃんと発見できました。


判明、赤が正しいルート、青が歩いちゃったルート

 沢で寸断された先は、双子山方面から少し離れて見るとなんとなく薄く道っぽく見えるのですが、その場に行ってしまうと解りづらくなってしまいます。また、沢の向こうに発見した最初の白ペンキが本来のルートより右寄りだったこと、そして決定的だったのは2つ目に発見した白ペンキがまるで見当違いの場所にあったことで、大きくずれてしまったということが分かりました。あとほんの数メートル広く歩き回って探していれば、正しいルートを発見できた可能性があったのにと、ちょっと悔しく思いました。方向さえ分かってしまえば、あとは確かに白ペンキのマークをたどって迷わずに行けそうだということで、納得できました。やっぱり姫様に遊ばれたな。新しい案内看板(茶色の柱)が準備されていましたので、これが立てられれば私のように「道がない〜」という人はなくなると思います。

 四つ辻まで戻り、水ヶ塚方面に向って再出発、もののけ姫のししがみの森のような樹林帯に入ってから幕岩分岐を下り、幕岩到着は11:30 でした。ここで昼食にするつもりでしたが、子どもがこのまま歩いて車で食べたいと言い張るので、休憩なしで歩くことに。幕岩から御殿場口方面への道の入口がわかりづらかったですが、幕岩前の拓けている所を少し下ると、ロープが張られた岩崖があるので、そこまで行けば入口を見つけることが出来ます。あとは迷いようがない森の道を抜けて、御殿場口駐車場に出たのが12:30、幕岩から1時間ちょうどでした。

 5合目からの帰り道で、樹空の森の標識を息子が見つけ、「なんとかの森って出てた、行ってみたい!」ということで、思いつきで立ち寄って行くことに。近接する御胎内温泉センターで汗と汚れを流し、スッキリしてから帰りました。車だと、こういう機動力があって良いですね。その代償として、帰りの東名高速道路で猛烈に眠くなり、運転がつらかった!


(管理人)
御殿庭への分岐点は、新しい案内看板が準備されるぐらいだから、まちがえやすい場所だったのでしょう。沢で道が寸断されたせいで、黒い砂の部分を辿って上へずれて行ってしまうのはわかるような気がします。



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(11/10/4)